前回までは英文の構造解析ということで、主に英語の5文型について説明してきました。そして、5文型の要素として句や節を取り上げ、さらに句の一形態として準動詞についても解説してきました。これらを知ることで、実際の英文の構造解析、つまり、その英文がどの文型に属するかの特定を容易に行うことができます。
しかし、英文の意味を解釈するのに、これだけではまだ十分ではありません。なぜなら、英文は大きく主部と述部から成り、述部はさらに動詞、目的語、補語に分かれますが、述部の中核である動詞が時制を表すからです。それゆえ、時制を理解することなしに、英文を解釈することは不可能です。それでは、時制とはどういうものなのでしょうか。
時制(tense)
時制とは、動詞が表す出来事がいつ起こるかを分類するために動詞を語形変化させることを言います。そして、伝統的な英文法では、時制を現在形、過去形、未来形の3つに大別します。しかし、動詞の形として現在形と過去形はありますが、未来形はありません。通常、未来時制は助動詞(willやshallなど)と動詞の原形を組合わせて表わします。したがって、時制の定義に従えば、未来形という言い方は正しくありません。
また、時制は現在、過去、未来の3つに限られません。これら3つの時制とアスペクトを組み合わせることによって、全部で12の時制を表現することができます。それでは、アスペクトとは何でしょうか。
アスペクト(aspect:相)
アスペクトとは、動詞が表す出来事の完成度の違いを記述する文法形式で、それによって動作がどの段階・相にあるかを示します。動作には必ず始まりと終わりがありますが、動詞が示す動作が途中なのか、それとも終了したのか、つまり動作が「進行している」のか、あるいは「完了した」のかを分類するために、英語では動詞を語形変化させます。
具体的には、動詞をing形(進行分詞/現在分詞)にして、進行相(progressive aspect)つまり動作が途中であることを表現します。また、動詞をed形(完了分詞/過去分詞)にして、完了相(perfect aspect)つまり動作が終了したことを表現します。
それでは以下に、現在、過去、未来の時制と、進行相、完了相のアスペクトを組み合わせた12の時制について、それぞれ例文を見ていきます。
12の時制
現在形
動詞の現在形は、現在の特定の時点(現時点)ではなく、現時点の前後に渡り多少の持続時間を持つ出来事を表します。ちなみに、現時点の出来事は、後述する現在進行形が表します。現在形には動詞の原形を用いますが、主語が3人称、単数のときだけ原形に(e)sを付けます。また、動詞には動作を表す動作動詞と状態を表す状態動詞がありますが、それぞれ現在形には以下のような用法があります。
動作動詞の現在形
動作動詞の現在形は、下の例文のように、現在の習慣(日常繰り返される動作)を表すために用いられます。そして、そのときは「(習慣として)~している」という意味になります。
My father usually goes to his office by bus. 私の父は普段はバスで事務所に通っています。
He eats lunch every day. 彼は毎日昼食を食べています。
状態動詞の現在形
状態動詞の現在形は、下の例文のように現時点の状態を表し、そのときは「~している」、「~だ」という意味になります。
My house stands on the hill. 私の家は丘の上にあります。
He is an honest man. 彼は正直な男だ。
また、状態動詞はing形(進行形/進行相)を持ちません。それゆえ、状態動詞の現在形は、下の例文のように後述する現在進行形の代用としても使われます。
I like English better than any other subject. 私は英語が他の科目よりも好きです。
I know your father well. 私は君のお父さんをよく知っている。
不変の真理
現在形の動詞は、下の例文のように、永続的なこと、普遍的な(いつでもどこでも当てはまる)こと、つまり不変の真理を表す場合にも用いられます。
Twice two is four. 2×2は4です。
Water boils at 100℃. 水は100度で沸騰します。
Human beings die someday. 人はいつか死ぬ。
ことわざや格言
前述の不変の真理から派生して、以下のようにことわざや格言にも現在形の動詞が用いられます。
Early birds pick out the worms. 早起きは三文の徳。
There is no smoke without fire. 火のないところに煙はたたぬ。
歴史的現在・劇的現在
現在形の動詞は、過去の出来事を眼前に見ているように表現する場合(歴史的現在・劇的現在)にも用いられます。
He bursts into the room, and cries, “Emperor, we are victorious.” 彼は室内に踊り込んで叫んだ、「陛下、味方の大勝利でございます」と。
近い未来
現在形の動詞が、以下のように未来を示す副詞、形容詞を伴って確実に予定された近い未来を表わすことがあります。この点については、後述する「beの現在形 + going + to不定詞」のところで再考します。
The meeting opens at 9 a.m. tomorrow morning. 会合は明朝9時に始まる。
She leaves Tokyo for Paris tomorrow. 彼女は明日パリに行くために東京を発つ予定だ。
現在進行形
現在進行形は「be動詞の現在形 + ing形」の形式を採り、現時点の状態を表します。つまり、現在進行形は、ing形(進行相)を組み込むことで現時点における動作の継続を示して動作を状態化するわけです。具体的には以下の用法があります。
今の瞬間の動作の進行
He is speaking English. 彼は(今)英語を話している。
現在進行形は、この例文のように、今の瞬間の動作の進行を表します。そして、その場合は「(今)~している」という意味になります。
未完結(途中)の動作
He is going to school. 彼は(今)学校へ行く途中だ。
現在進行形は、この例文のように、現時点で動作が未完結(途中)であること、つまり動作が完結に至る前の過程的状態にあることを表します。
動作の一時的な継続
What are you studying these days? I am studying Oriental history under Dr. Hank. 近頃君は何を研究してますか。私は今のところ、ハンク博士の下で東洋史を研究しています。
現在進行形は、この例文のように、現時点における動作の一時的な継続を表すことがあります。これは上述した動詞の現在形が表す現在の習慣とほとんど同じですが、現在進行形の方が継続期間が短いです。
動作の繰り返し
My husband is always complaining about the food. 私の夫はいつも食べ物のことで文句ばかり言っている。
この例文も、上の例文と同様に、現在進行形が現時点における動作の継続を表しています。しかし、そこに「いつも」を意味するalwaysが加わることで、文句を言うという動作の繰り返しが強調されています。そして、それによって、話し手は相手に対する苛立ち、非難、不平、驚きなどを表現しているのです。
動作・状態の変化
It is beginning to rain soon. まもなく雨になりそうだ。
瞬間的な動作を示す動詞の現在進行形は、この例文のように動作・状態の変化、つまり動作の予備行動が既に始まっていることを表します。そして、その場合は「まさに~しようとしている」、「すでに~し始めている」という意味になります。
近い未来
She is leaving Tokyo for Paris tomorrow. 彼女は明日パリに行くために東京を発つ予定だ。
go(行く)、come(来る)、leave(去る)、start(出発する)などの往来・発着を示す動詞の現在進行形は、この例文のように近い未来を表し、「~しようとしている、~する予定である」という意味になります。この例文の場合、彼女は明日東京を発つための事前準備はすでに完成しているので、それが起きることを確信しています。この点については、後述する「beの現在形 + going + to不定詞」のところで再考します。
現在完了形
現在完了形は「have / has + ed形」の形式で過去に生じた出来事を表しますが、同じく過去の出来事を表す動詞の過去形との違いは、話し手の心境における現在との関係にあります。すなわち、動詞の過去形が現在と切り離された過去の出来事を表すのに対して、現在完了形は現在とつながった過去の出来事を表します。
現在完了形は「have / has」の部分が現在形であることからもわかるように、時制としてはあくまでも現在です。それゆえ、現在完了形の目的は「今どうなっているのか」という現在の状態を表すことにあり、過去の出来事はそれを説明するための材料として出て来ているに過ぎません。したがって、話し手の関心が「今」にあれば現在と結び付く現在完了形が用いられ、話し手の関心が「過去」にあれば現在から隔離された過去形が用いられることになります。
このように現在完了形は現在から振り返って(回顧して)、「過去の出来事の結果、今どうなっているか」ということに焦点があるため、本来は現在回顧形と呼ぶべきものです。そして、この現在との係わりから派生して、現在完了形には以下の4つの用法があります。
完了
He has just finishied the task. 彼は今ちょうど仕事を終えたところだ。
現在完了形は、この例文のように完了を表しますが、このときは「~してしまった、(ちょうど)~したところだ」という意味になります。
結果
He has gone to school. 彼は学校へ行った(今、ここにはいない)。
I have lost my watch. 私は時計をなくしてしまった(まだ見つかっていない)。
現在完了形は、これらの例文のように結果を表しますが、このときは「~して(今は)・・・になっている」という意味になります。
経験
He has never been sick in his life. 彼は一度も病気をしたことがない。
現在完了形は、この例文のように経験を表しますが、このときは「~したことがある」という意味になります。
継続
We have lived in Hakodate since laste year. 私たちは去年から函館に住んでいる。
The house has been empty for three years. その家は3年間、空き家だ。
現在完了形は、これらの例文のように過去のある時点からの継続を表し、その場合は「(引き続き)~している、(現在までずっと)してきた」という意味になります。なお、forは期間を表す前置詞、sinceは起点を表す前置詞ですが、これらは現在完了形が示す出来事が現在まで続く時間的な幅を表現する際によく用いられます。
現在完了進行形
上述のように現在完了形の用法は完了、結果、継続、経験の4つですが、現在完了形が継続を表すためには、状態を示す状態動詞(Verbs of state)を用いなければなりません。なぜなら、動作を示す動作動詞(Verbs of action)を現在完了形に用いると、その文は完了、結果、経験を表すことになるからです。それでは、動作動詞を用いて継続を表すにはどうすれば良いのでしょうか。動作動詞で継続を表すためには現在完了進行形を用います。つまり、そのままでは継続を表せない動詞については、ing形(進行相)と組み合わせて時間的な幅を持たせるわけです。
I have been writing a novel for one year. 私は1年前から小説を書いています。
この例文のように、現在完了進行形は「have / has been + ing形」の形式で動作の継続、つまり過去のある時点から動作が繰り返し現在まで継続して行われたことを表し、「(今までずっと)~してきた」 という意味になります。
He has been taking a walk in the park. 彼は(今までずっと)公園を散歩していた。
現在完了進行形は、その形式自体に動作継続の意味があります。それゆえ、この例文のように、期間を示すforや起点を示すsinceなどの前置詞がなくても、過去から現在までの継続を表す文として成立します。
過去形
英語で過去を表すときは動詞を過去形にします。そしてその過去は、現在完了形が捉える現在とつながった過去ではありません。過去形が捉える過去は、現在から切り離された過去です。したがって、そこからは以下のような用法が派生します。
過去の動作
I saw her yesterday. 私は昨日彼女に会いました。
この例文が表すのは過去の動作であり、この場合は「~した」という意味になります。
過去の状態
She resembled her sister. 彼女は姉と似ていた。
この例文が表すのは過去の状態であり、この場合は「~だった」という意味になります。そして、状態には時間的継続の意味が含まれるので、この例文は彼女が姉に似ていたことが一定期間、続いていたことを表します。しかし、過去形が捉える過去は現在から切り離された過去です。それゆえ、過去形が示す状態は過去の限定された時間帯で広がっているだけで、現在とは切断されています。したがってこの例文は、過去において彼女が姉に似ていたことだけを示していて、現在でも彼女が姉に似ているかどうかは不明です。
過去の習慣
After work he played tennis every day. 仕事の後、彼は毎日テニスをした。
この例文は、過去に習慣として続けていたことを表しています。そして、習慣とは過去において繰り返し行われた動作なので時間的な幅を持ちますが、その時間的幅は現在との接点がありません。したがってこの例文は、今ではもはや彼は仕事の後にテニスをしていないことを含意しています。
以上が過去形の主な用法ですが、過去形は現在から切り離された過去を表すために仮定法(本来は叙想法と呼ぶべきもの)にも用いられています。なぜなら、過去形が示す現在から切り離された過去というイメージから、現実から遠く隔てられたというイメージが導かれるからです。すなわち、過去形の過去は現在から「遠く隔てられた」ものですが、現在は現に在る事実、つまり現実と常に関わっています。それゆえ、過去形が示す現在からの時間的距離を現実からの心理的距離に置き換えて、過去形が現実から「遠く隔てられた」世界、つまり叙想法が扱う現実とは反対の仮想の世界を表すようになったのです。
したがって、過去形という名前に囚われて、それを過去という時制だけに関連付けてしまうと、英語がわからなくなります。過去形が持つコア・イメージは「遠く隔てられた」であり、したがって過去形と言うよりは遠隔形が相応しい名称です。この点については、叙想法(仮定法)を扱うブログ記事でさらに詳しく述べていきます。
過去進行形
動作動詞はそれ自体に継続の意味を持たず、ある時点における動作を表します。これに対して、状態動詞はある程度の時間的継続を含意しています。そして、進行形は動作動詞が示す動作を状態化するので、そこに時間的な継続の意味を持たせることができます。
以上のことは、現在進行形だけでなく過去進行形にも当てはまるので、両者の相違は、形式を除けば話し手が着目する時点が現在か過去かの違いだけになります。それゆえ、過去進行形は「be動詞の過去形 + ing形」の形式を採り、過去のある時点における状態を表します。そして、現在進行形に準じて、過去進行形には以下の用法があります。
過去のある瞬間における動作の進行
She was going to work on her bicycle. 彼女は自転車で仕事に向かっていた。
過去進行形は、この例文のように、過去のある瞬間における動作の進行を表します。そして、その場合は「その時~していた」 という意味になります。もし、ここで過去形wentを用いるなら、それは過去の習慣を表すので、日常自転車で通勤していたことを意味します。しかし、ここでは過去進行形was goingを使っているので、自転車が一時的な通勤手段であることを示しています。すなわちこの例文は、彼女が普段は車かバスを利用していたが、車の故障またはバスのストライキなどの理由で、一時的に自転車を利用していたことを示唆しているのです。
過去における未完結(途中)の動作
He was building his own house. 彼は自分の家を建てていた。
過去進行形は、この例文のように、過去のある時点で動作が未完結(途中)であること、つまり動作が完結に至る前の過程的状態にあることを表します。
過去における動作の一時的な継続
I was studying history in those days. 私はその頃、歴史を研究していました。
過去進行形は、この例文のように、過去のある時点における動作の一時的な継続を表すこともあります。これは上述した動詞の過去形が表す過去の習慣とほとんど同じですが、過去進行形の方が継続が短期間です。
過去における動作の繰り返し
He was always saying bad things about others. 彼はいつも他人の悪口ばかり言っていた。
この例文も、上の例文と同様に、過去進行形が過去のある時点における動作の継続を表しています。それゆえ、この例文にalwaysがなければ、「彼は他人の悪口を言っていた」という意味になり、単に過去のある時点の状態を表すだけになります。しかしこの例文は、alwaysのような頻度の高い副詞を加えることで過去における動作の繰り返しを強調し、話し手の相手に対する苛立ち、非難、不平、驚きなどの感情を際立たせているのです。
過去における動作・状態の変化
The flowers were opening when the birds of spring visited them. 春の鳥が訪れた時、花はまさにこれから開こうとしていた。
He was dying when his son rushed into his room. 息子が部屋に駆け込んだ時には、彼はすでに死にかけていた。
瞬間的な動作を示す動詞の過去進行形は、この例文のように過去における動作・状態の変化、つまり過去のある時点から動作の予備行動がすでに始まっていたことを表し、その場合は、「まさに~しようとしていた」「すでに~し始めていた」という意味になります。
過去のある時点から見た近い未来
I was leaving Tokyo for Paris the next day when the great earthquake occured. 私は翌日パリに行くために東京を発とうとしていたが、ちょうどその時大地震が起きた。
往来・発着を示す動詞の過去進行形は、この例文のように過去のある時点から見た近い未来に起きることを表し、「その時~しようとしていた、~する予定だった」という意味になります。
過去完了形
現在完了形が時の基準を現在に置くのに対して、過去完了形は時の基準を過去のある時点に置きます。両者の違いは形式を除けばそれだけなので、過去完了形も現在完了形に準じて、完了、結果、経験、継続という4つの用法を持ちます。
完了
I had finished my work when you came. 君が来た時には、私は仕事を済ませてしまっていた。
過去完了形は「had +ed形」の形式で、この例文のように過去のある時点における動作の完了を表します。そして、その場合は「(その時)~してしまっていた」という意味になります。
結果
He had gone to school. 彼は学校へ行った(その時、そこにはいなかった)。
I had lost my watch when I came home. 私は家に帰った時には、時計をなくして持っていなかった。
過去完了形は、これらの例文のようにある時点で結果がどうなっていたかを表しますが、その場合は「~して(その時は)・・・になっていた」という意味になります。
経験
He had never even tasted an apple before that time. それまで彼は、リンゴを食べたことさえなかった。
過去完了形は、この例文のようにある時点まで経験してきたことを表しますが、その場合は「(その時までに)~したことがあった」という意味になります。
継続
I had lived there for ten years when my father died. 私は父が死ぬまで、そこに10年間住んでいた。
I had not waited there long before the door opened. 少しの間そこで待っていると、ドアが開いた。
過去完了形は、これらの例文のようにある時点までの動作の継続を表しますが、その場合は「(その時までずっと)~していた、してきた」という意味になります。
過去完了進行形
動作動詞を用いて、過去のある時点までの動作の継続を表すには過去完了進行形を用います。
He had been writing novels before he died. 彼は死ぬまで、小説を書いていた。
過去完了進行形は、この例文のように「had been + ing形」の形式で「(過去のある時点までずっと)~していた」という意味を表します。
未来
上述のように動詞の未来形はありません。そこで通常は、未来時制は助動詞(willやshallなど)と動詞の原形を組合わせて表わしますが、これについては別途、助動詞を扱う次回のブログ記事で解説します。なぜなら、助動詞はwillやshallだけでなく、そのほとんどが未来のことを表すからです。したがって、ここでは「be動詞の現在形 + going +to 不定詞」という形式のみを扱います。
近い未来
I am going to stay here for a week. 私はここに1週間滞在する予定だ。
「be動詞の現在形 + going + to不定詞」は、この例文のように近い未来を表し、「~する予定だ、~するつもりだ」という意味になります。この近い未来は、既に述べたように現在形や現在進行形でも表すことができますが、「be動詞の現在形 + going+ to不定詞」の方が意志を込めやすくなります。なぜなら、 goの意味は「行く、向かう、進む」ですが、to不定詞以下がgoが向かう目的の状態、つまり未来の状態を示しています。それゆえ、「be動詞の現在形 + going+ to不定詞」を用いることで、目的に向かって邁進しようとする意志を示すことができるからです。したがって、次のように言うことができます。
I am going to give up smoking. 私はタバコをやめるつもりだ。
現在形、現在進行形との違い
ここで先述した現在形、現在進行形と「beの現在形 + going + to不定詞」との違いについて説明します。まずは次の3つの例文を見てください。どれも近い未来を表し、「~する予定である」という意味になりますが、違いもあります。
She leaves Tokyo for Paris tomorrow. 彼女は明日パリに行くために東京を発つ予定だ。
She is leaving Tokyo for Paris tomorrow. 彼女は明日パリに行くために東京を発つ予定だ。
She is going to leave Tokyo for Paris tomorrow. 彼女は明日パリに行くために東京を発つ予定だ。
まず、現在形の例文は、先述のように確実に予定された近い未来を表すため、彼女が明日パリに行くことは確定しています。次に、現在進行形の例文は、先述のように事前準備をすでに完了しているので、彼女は予定通りになることを確信しています。これらに対して、「beの現在形 + going + to不定詞」の例文は、予定したことを行う決心はしたものの、事前準備がまだ済んでいないので、彼女は予定通りになるかについては自信がありません。それゆえ、「beの現在形 + going + to不定詞」の例文は「~するつもりだ」と訳した方が正確かもしれません。では、この違いはどこから来るのでしょうか。
まず、現在形は不変の真理を表すときにも用いられるので、それが示す予定も不変であり、したがって確定しています。次に、現在進行形の例文ではleavingが進行相になっているので、出発するという行動が進行していて、その行動が向かう先はパリです。したがって、現在進行形の例文では、出発するという行動が目的地を目指す段階まで進んでいるので、出発するための事前準備はすでに完了したと考えられます。これに対して、「beの現在形 + going + to不定詞」の例文ではgoingが進行相になっていて、goが向かう先はto不定詞が表す内容、つまり出発するという行動になります。したがって、「beの現在形 + going + to不定詞」の例文では、まだ出発するという行動自体を目指している段階なので、出発するための事前準備は未完了と考えられます。このように何が進行相になっているかの違いによって、事前準備の完了の有無が生じるわけです。
予測
The cup is going to fall down. コップが今にも落ちそうになっている。
「beの現在形 + going + to不定詞」は、この例文のように予測を表し、「~しそうだ」という意味になります。
未来を表す形式には、その他「will、shall be + ing形」の形式を採る未来進行形、「will、shall have + 過去分詞」の形式を採る未来完了形、「will、shall have been + ing形」の形式を採る未来完了進行形があります。しかし、これらもすべて助動詞を伴う形式なので、助動詞を扱う次回のブログ記事で解説します。
英文法は、基本文型を動詞に着目して5つに分類していることからもわかるように、動詞を中心とした体系です。そして、上述のように、動詞の語形としては現在形と過去形しかありません。したがって、未来については主に助動詞と組み合わせて表現するわけですが、助動詞は時制とだけ関係しているのではなく、叙想法(仮定法)とも関係しています。従来の英文法ではこの辺の関係をきちっと説明していないので、それが英語の習得を難しくしていると思われます。そこで、次回と次次回のブログ記事で、これらの関係について解説していきます。乞うご期待!!