英文の構造解析の要諦Ⅲ-準動詞

準動詞とは何か

前回の翻訳サービスのブログ記事では、句や節を含んだ英文の構造解析について解説しました。しかし、準動詞が導く句についてはボリュームが多いために、そこでの説明は省きました。したがって、今回の記事では、その省いた分を解説していきます。

ところで、準動詞とは何でしょうか。準動詞とは、上の図ように動詞が名詞句、形容詞句、副詞句として働く場合の呼称です。準動詞は元来が動詞なので、一方では動詞としての機能を失いながらも、他方では動詞としての特徴をなおも堅持しています。動詞としての機能を失っている点は、①文法上の主語がない、②したがって、主語の人称、数による変化がない、③述語として用いることができない、という点です。

一方、動詞としての特徴を保持している点は、①目的語、補語などを持つことができる、②副詞によって修飾される、③冠詞、形容詞などによって修飾されない、④時制、態を持っている、という点です。そして、従来の英文法の分類では、準動詞は下表のような3種類から成るとされてきました。

けれども、私は動名詞は分詞の一部と捉えているので、動名詞を独立のカテゴリーとして扱うのは無意味だと考えています。しかし、その理由を示す前に、まずは不定詞について解説したいと思います。

不定詞の3つの用法

不定詞とは、動詞でありながらも文法上の主語がなく、それゆえ主語の人称、数による制限を受けない、つまり主語に対応する適切な形が「定まっていない」という意味から来た名称です。逆に、形が定まったものは「定形動詞」と呼んでいます。

不定詞の一般的な形は[to+動詞の原形]です。そして、不定詞には名詞的用法形容詞的用法副詞的用法の3つの用法があります。そのいずれにおいても、前置詞toの「~に向かう…」という方向、傾向、意向を示す意味が含まれています。

名詞的用法

不定詞は名詞句を導き、それが他の名詞や代名詞と同様に、文の主語、目的語、補語としての働きをすることができます。

主語としての働き

It is hard (for small boys) to master English in a year. (小さな少年が)英語を一年で習得することは難しい。

この例文では、不定詞が名詞句を導き文の主語になっています。しかし、英語は頭でっかちを嫌うので、文頭に形式主語のItを置き、真主語である不定詞句(名詞句)を文末に持って来ています。また、英語では不定詞句の意味上の主語を明示したいときは、それを前置詞forの後に置き、その[for+意味上の主語]を不定詞句の前に置きます。

It is very foolish of me to act like that. あんな振る舞いをするとは、私は本当に愚かだった。

この例文でも、上の例文と同様に、不定詞句(名詞句)が文の主語になっています。しかし、不定詞句の意味上の主語は[of+意味上の主語]で明示されています。このように文の述語の部分に「人の評価・性質」を表す形容詞が使われているときは、不定詞句の意味上の主語は、前置詞forではなく前置詞ofの後に置かれます。

目的語としての働き

I want to buy some interesting books. 私は何かおもしろい本を買いたいと思う。

この例文では、不定詞句(名詞句)が完全他動詞の目的語になっています。不定詞句(名詞句)を目的語とする完全他動詞は、「欲求、決心、努力、好悪(こうお:好き嫌い)、遂行」などの意志を表すものに限られます。具体的には、want(欲する)の他、wish(願う)、like(好む)、hate(憎む)、hope(望む)、try(試みる)、continue(続ける)、seek(求める)、attempt(企てる)、forget(忘れる)、intend(志す)、decide(決める)、begin(始める)、mean(…するつもりである)などがあります。

I find it difficult to master English in a year. 私は英語を1年で習得することが難しいことがわかる。

この例文では、不定詞句(名詞句)が不完全他動詞の目的語になっています。しかし、英語は頭でっかちを嫌うので、目的語の位置に形式目的語のitを置き、真目的語である不定詞句(名詞句)を文末に持って来ています。不定詞句(名詞句)を目的語とする不完全他動詞には、find(~が…とわかる)の他、make(~を…にする)、feel(~を…と感じる)、think(~を…と思う)、believe(~を…と信じる)、consider(~を…と考える)などがあります。

補語としての働き

His plan was to purchase the land first. 彼の計画は最初にその土地を購入することだった。

この例文では、不定詞句(名詞句)が不完全自動詞の補語(主格補語)になっています。

He compelled me to stay a week more. 彼は私に無理やりもう一週間滞在させた。

この例文では、不定詞句(名詞句)が不完全他動詞の補語(目的格補語)になっています。そして、この不完全他動詞は、「誰それに…をさせる」という意味を持つので使役動詞(causative verb)と呼ばれています。このような[to+動詞の原形]という形のto不定詞を伴う使役動詞には、compel(強要する)の他、oblige(強制する)、permit(許す)、allow(許す)、forbid(禁ずる)、order(命令する)、tell(言いつける)、beg(請う)、ask(求める)、advise(すすめる)、urge(すすめる)、cause(~させる)、enable(可能ならしめる)、wish(願う)、invite(招待する)、encourage(鼓舞する)、help(助ける)、intend(志す)、persuade(説得する)、request(求める)、want(欲する)などがあります。

He declared the statement to be true. 彼はその陳述が真実であると宣言した。

この例文では、上の例文と同様に、不定詞句(名詞句)が不完全他動詞の補語(目的格補語)になっています。そして、この不完全他動詞は「~を…という」という意味の不完全他動詞であり、これも使役動詞の一種と考えられます。このような意味の不完全他動詞には、declare(宣言する)の他、admit(認める)、pronounce(断言する)、reveal(明らかにする)、report(報告する)、call(称する)などがあります。

I think him to be an honest man. 私は彼が正直な人だと思う。

この例文でも、やはり不定詞句(名詞句)が不完全他動詞の補語(目的格補語)になっています。そして、この不完全他動詞は認識や思考を表す「~を…と思う」という意味の不完全他動詞です。このような意味の不完全他動詞には、think(思う)の他、find(わかる)、suppose(仮定する)、fancy(思う)、know(知る)、take(思う)、imagine(想像する)、believe(信じる)、deny(否定する)、feel(感じる)、guess(推測する)、judge(判断する)、prove(称する)、admit(認める)などがあります。

形容詞的用法

不定詞句が形容詞句になるときは、単語の形容詞と同じく、付加的用法叙述的用法の2つの用法を持ちます。そして、単語の形容詞と同様に、叙述的用法の形容詞句だけが補語になることができます。

付加的用法

He has many good friends to help him. 彼には、彼を助けてくれる多くの良い友人がいる。

この例文では、付加的用法の形容詞句(不定詞句)が修飾する名詞が、不定詞句の意味上の主語になっています。

We want something to eat for lunch. 私たちは何か昼食に食べるものがほしい。

この例文では、付加的用法の形容詞句(不定詞句)が修飾する名詞が、不定詞句の意味上の目的語になっています。

This is the shortest way to finish it. これがそれを終えるための一番の近道だ。

この例文では、付加的用法の形容詞句(不定詞句)とそれが修飾する名詞とが同格関係にっています。

This apron has no pocket to put things in. このエプロンには物を入れるポケットが一つもない。

この例文では、付加的用法の形容詞句(不定詞句)が前置詞を伴っています。そして、形容詞句(不定詞句)が修飾する名詞が、その形容詞句(不定詞句)に伴う前置詞の目的語になっています。

叙述的用法

You appeared to be very tired. あなたはとても疲れているように見えます。

この例文では、叙述的用法の形容詞句(不定詞句)が不完全自動詞の主格補語になっています。

We are to meet here. 私たちはここで彼に会うはずだ。[予定]

この例文では、上の例文と同様に、叙述的用法の形容詞句(不定詞句)が不完全自動詞の主格補語になっています。ただし、上で述べたように、不定詞には常に前置詞toの「~に向かう…」という方向、傾向、意向を示す意味が含まれています。それゆえ、「be+to不定詞」で「まさに~せんとする」という意味になります。そして、そこから辞書などにで見られる予定、運命、義務、命令などの意味が派生しているのです。

Let me go at once. すぐに行かせてくれ。→そこを放せ。

この例文では、使役動詞(causative verb)動詞の原形をそのまま用いる原形不定詞が導く形容詞句(不定詞句)を不完全他動詞の補語(目的格補語)に取っています。このような原形不定詞を伴う使役動詞には、let(許して~させる)、make(強制して~させる)、bid(命じて~させる)、help(手伝って~させる)、have(~させる、~してもらう)などがあります。

I heard someone come. 私には誰かが来るのが聞こえた。

この例文では、五感に関する知覚動詞(verb of perception)原形不定詞の形容詞句(不定詞句)を不完全他動詞の補語(目的格補語)に取っています。このような知覚動詞には、see(見る)、hear(聞く)、feel(感じる)、watch(見守る)、notice(注意する)、look at(~に目を向ける[やる])、listen to(聴く)、know(知る)などがあります。

ちなみに、上記のように使役動詞や知覚動詞がその目的格補語として原形不定詞を取るとき、その文が受動態になると、原形不定詞がto不定詞に変わります。これを「to復活の法則」として覚えておくと、記憶に残りやすくなって便利です。

They made him go away. 彼らは彼を去らせた。/ He was made to go away. 彼は彼らに退去させらせた。

We saw her flee. 私たちは彼女が逃げるのを見た。/ She was seen to flee. 彼女は逃げるのを見られた。

副詞的用法

不定詞は副詞句を導いて、文中で副詞と同様の働きをすることができます。そして、その働きは動詞の修飾形容詞の修飾副詞の修飾、そして文全体の修飾という4つの修飾から成ります。

動詞の修飾

We eat to live, not live to eat. 我々は生きるために食べるのであって、食べるために生きるのではない。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が動詞を修飾して、その動作の目的を表しています。そして、この場合の意味は「~するために、~しに」になります。

She grew up to be one of the most famous scholars of the world. 彼女は成長して、世界で最も有名な学者の1人になった。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が動詞を修飾して、その動作の結果を表しています。そして、この場合の意味は「~したら…、~して…になる」になります。

She was surprised to see her son come out of the hole. 彼女は自分の息子が、穴から出て来るのを見て驚いた。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が感情を示す動詞を修飾して、その感情の原因を表しています。そして、この場合の意味は「~して…」になります。

形容詞、副詞の修飾

English is very hard to learn. 英語は習うのにとても困難だ。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が形容詞を修飾し、その形容詞の意味が及ぶ範囲を限定しています。つまり、この副詞句(不定詞句)は「hard(困難な)」とはどういう点、どの部分なのかという、hardの意味の度合いを定めているのです。

He was kind enough to lend me the money. 彼はたいへん親切で、私にお金まで貸してくれた。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が副詞を修飾し、その副詞の意味が及ぶ範囲を限定しています。つまり、この副詞句(不定詞句)は「enough(十分に)」とはどの程度なのかという、enoughの意味の度合いを定めているのです。

I am glad to see you. お目にかかれてうれしいです。→よくおいでくださいました。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が感情を示す形容詞を修飾して、その感情の原因を表しています。そして、この場合の意味は「~して…」になります。

He was very clever to leave here early. ここを早く出発するとは、彼は抜け目ない奴だった。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が形容詞を修飾して、その理由根拠を表しています。そして、この場合の意味は「~するとは…」になります。

文全体の修飾

You must have worked very hard to have succeeded in so short a time. そんな短期間で成功するとは、君はよっぽど精出して働いたに違いない。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が文全体を修飾して、その理由根拠を表しています。そして、この場合の意味は「~するとは…」になります。

You would do well to walk with your eyes on the road. 君は目を道路から離さずに歩いたらよかろうに。

この例文では、不定詞が導く副詞句(不定詞句)が文全体を修飾して、その条件を表しています。そして、この場合の意味は「~なら…」になります。

分詞の3つの用法

分詞とは動詞を形容詞的に使うための形態で、「」という文字は形容詞的な性格を分け与えるという意味で使われています。つまり、動詞を「分岐」させて、そこから形容詞的形態を生むわけです。したがって、分詞は「動詞の意味を持った形容詞」の一種と言えます。

従来の英文法では、分詞は現在分詞と過去分詞から成り、分詞と動名詞はそれぞれ別のカテゴリーに属するとされています。そして、不定詞を名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法の3つに分類しています。

けれども、分詞を不定詞との対比で考えると、動名詞分詞の名詞的用法分詞構文分詞の副詞的用法と見なすことができます。なぜなら、動名詞は動詞を「分岐」させて生まれた名詞的形態と解されるからであり、なおかつ現在分詞と動名詞は共にing形です。また、分詞構文は、分詞が修飾する名詞から分離して、副詞句に転換したものだからです。

さらに、現在分詞と過去分詞という用語も非常におかしなもので、こんなわけのわからない用語を使っているから、英文法が難解になるのです。実際の現在分詞(ing形)は、現在という時制ではなく、進行中の状態を示しています。だから、本来は進行分詞と呼ぶべきものです。 実際、 アスペクト(相)という動詞が表す出来事の完成度の違いを記述する文法形式では、ing形を進行相と呼んでいます。したがって、ここでは現在分詞を進行分詞と呼ぶことにします。なお、アスペクトについては、別のブログ記事で解説します。

一方、実際の過去分詞は、過去という時制ではなく、動作が完了した状態を示しています。だから、本来は完了分詞と呼ぶべきものであり、アスペクトでもed形を完了相と呼んでいます。それゆえ、ここではed形を完了分詞と呼びます。

以上のように考えた方が、英文法をシンプルかつ合理的に捉えることができます。それゆえここからは、この実態に即した分類と用語に従って、分詞の3つの用法をそれぞれ解説していきます。

名詞的用法(動名詞)

Swimming is good for health. 水泳は健康に良いです。

この例文では、名詞的用法の分詞が名詞句を導き、それが主語の働きをしています。

I like swimming. 私は水泳が好きです。

この例文では、名詞的用法の分詞が名詞句を導き、それが完全他動詞の目的語の働きをしています。

I am fond of swimming. 私は水泳が好きです。

この例文では、名詞的用法の分詞が名詞句を導き、それが前置詞の目的語の働きをしています。

We don’t call just floating on water swimming. ただ水に浮いてるいることを水泳とは呼ばない。

この例文では、名詞的用法の分詞が名詞句を導き、それが不完全他動詞詞の補語の働きをしています。

I don’t like his coming here so often. 私は彼があまりにたびたびここに来るのを好まない。

この例文では、上の例文と同様に、名詞的用法の分詞が名詞句を導き、それが完全他動詞の目的語の働きをしています。違いは、この分詞句(名詞句)が代名詞の所有格の修飾を受けている点で、この代名詞の所有格が分詞句(名詞句)の意味上の主語になります。

形容詞的用法

分詞句が形容詞句となるときは、単語の形容詞と同じく、付加的用法叙述的用法の2つの用法を持ちます。そして、単語の形容詞と同様に、叙述的用法の形容詞句だけが補語になることができます。

付加的用法

A rolling moss gathers no moss. 転がる石には苔が生えない。→辛抱の足らぬ人にはお金が貯まらない。

進行分詞(ing形)は進行中の状態を表して「~している」という意味になりますが、それが単独で用いられるときは、この例文のように前から名詞を修飾します。

People living in the country generally live long. 田舎に住む人は概して長生きする。

進行分詞(ing形)が他の語句と一緒に形容詞句(分詞句)を形成するときは、この例文のように後ろから名詞を修飾します。

A wounded man was rushed to the hospital. 傷ついた男が病院に運ばれた。

完了分詞(ed形)は動作の完了を表し「~される、~された」という意味になりますが、それが単独で用いられるときは、この例文のように前から名詞を修飾します。

He is a famous poet known all over the world. 彼は世界中に知られた有名な詩人です。

完了分詞(ed形)が他の語句と一緒に形容詞句(分詞句)を形成するときは、この例文のように後ろから名詞を修飾します。

叙述的用法

They lie sleeping in peace under the cool shade. 彼らは涼しい物陰で横たわって安らかに眠っている。

この例文では、進行分詞(ing形)が導く形容詞句(分詞句)が不完全自動詞の主格補語の働きをしています。

He seemed so pleased with the new home. 彼は新しい家がすっかり気に入ったように見えた。

この例文では、完了分詞(ed形)が導く形容詞句(分詞句)が不完全自動詞の主格補語の働きをしています。

She felt her heart beating wildly. 彼女は心臓が高鳴るのを感じた。

この例文では、進行分詞(ing形)が導く形容詞句(分詞句)が不完全他動詞の目的格補語の働きをしています。そして、この目的語は現状分詞が表す動作を「している」状態にあり、その意味上の主語になっています。

She wanted her shoes mended by noon. 彼女は自分の靴を正午までには修理してもらいたかった。

この例文では、完了分詞(ed形)が導く形容詞句(分詞句)が不完全他動詞の目的格補語の働きをしています。そして、この目的語は完了分詞の表す動作を「やり終えた」状態にあり、その意味上の主語になっています。

副詞的用法(分詞構文)

従来の英文法では、分詞が接続詞と動詞を兼ねた働きをしつつ一つの文の機能を句の形式に短縮して、その分詞句が主文に従属する場合を分詞構文と呼んでいます。しかし、上で述べたように、分詞構文の実態は分詞の副詞的用法です。このことを示すために、分詞構文の成り立ちを以下に見ていきます。

分詞構文の成り立ち

分詞構文は、以下のように分詞の形容詞的用法から発展したものです。

1.まず、主語に対する修飾語として分詞が用いられました。

The boy walking along the street met an old man. 街路を歩いていたその少年は老人に出会った。

この例文では、分詞句walking along the streetは、the boyを修飾する形容詞句として働いています。

2.次に、この形容詞句をカンマ(,)で切り離すと、the boyとの関係が薄れて、分詞句walking along the streetは副詞句としての色彩が強まります。

The boy, walking along the street, met an old man. その少年は、街路を歩いていて、老人に出会った。

3.そして、分詞句walking along the streetがさらに分離されて、純粋な副詞句として文頭に出ると分詞構文になります。それゆえ、分詞構文は分詞の副詞的用法だと言えるのです。

Walking along the street, the boy met an old man. 街路を歩いていたとき、その少年は老人に出会った。

ちなみに、この例文では分詞構文、つまり分詞の副詞的用法がつくる分詞句(副詞句)walking along the streetの意味上の主語は、以下に見るように主文の主語the boyになっています。

Walking along the street, the boy met an old man.=When the boy walking along the street, the boy met an old man.

副詞的用法(分詞構文)の意味

分詞の副詞的用法(分詞構文)は、上で述べたように、分詞の形容詞的用法がつくる分詞句(形容詞句)がカンマ(,)で区切られ、それが名詞を修飾する位置から分離した結果生じたものです。だから、その分詞句は副詞句に転じて主文に付帯する状況、つまり主文の動詞と同時の、あるいはそれを前提とする状況を表します。したがって、この付帯状況こそが分詞の副詞的用法(分詞構文)の原義であり、「~して」がその核心的意味(core meaning)になります。そして、そこから辞書などに載っている意味が派生しているのです。以下に、付帯状況およびそこから派生した意味の例文を見ていきます。

Raising his hand, he stood up and answered.=He raised his hand, and stood up and answered.=He stood up and answered as he raised his hand. 彼は手を挙げて立ち上がって答えた。

この例文では、分詞が導く副詞句が主文の動詞を修飾して、その動作に伴う付帯状況を表しています。

Arriving (When I arrived) at the station, I found the train just going out. 駅に着いたとき、ちょうど列車が発車しかけていた。

この例文では、分詞句(副詞句)が主文の動詞を修飾して、その動作が起きるを表しています。

Having (As I had) nothing to do, I went to bed. 何もすることがなかったので、私は寝床に入った。

この例文では、分詞句(副詞句)が主文の動詞を修飾して、その動作が起こる理由、原因を表しています。

Turning (If you turn) to the right, you will find a tall building. 右へ回れば、高い建物が見えるでしょう。

この例文では、分詞句(副詞句)が主文の動詞を修飾して、その動作が起きる条件を表しています。

Admitting (Though I admit) what you say, I still think you are in the wrong. 君が言うことは認めるが、私はやっぱり君が間違っていると思う。

この例文では、分詞句(副詞句)が主文の動詞を修飾して、その動作の前提となる譲歩を表しています。

準動詞の用法のまとめと使い分け

準動詞の用法のまとめ

ここまで不定詞と分詞から成る準動詞の用法について述べてきました。それらをまとめると、以下の表のようになります。

不定詞                用法
to不定詞名詞的用法:名詞句として主語、目的語、補語の働きをする。
to不定詞/原形不定詞形容詞的用法:形容詞句として後ろから名詞を修飾する(付加的用法)、
または補語の働き(叙述的用法)をする。
to不定詞副詞的用法:副詞句として動詞、形容詞、副詞、そして文全体を修飾する。
分詞                用法
進行形:ing形名詞的用法(動名詞):名詞句として主語、目的語、補語の働きをする。
進行形:ing形/完了形:ed形形容詞的用法:形容詞句として名詞を修飾する(付加的用法)、または補
語の働き(叙述的用法)をする。
進行形:ing形/完了形:ed形副詞的用法(分詞構文):副詞句として主文の動詞を修飾する。

準動詞の用法の使い分け

不定詞と分詞は共に名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法を持ちますが、英文を読む際は、両者の形が違うので、見分けるのは簡単です。しかし、英文を書く際にどちらを使うべきかは、そう簡単ではありません。特に名詞的用法については注意が必要です。そこで最後に、不定詞と分詞の名詞的用法の使い分けについて解説します。

不定詞の名詞的用法と分詞の名詞的用法(動名詞)はどちらも名詞句として用いられます。しかし、その意味には次のような微妙な差異があります。

不定詞の名詞的用法義務意向を表し、「~すべきこと、~したいこと」という意味になる。

分詞の名詞的用法(動名詞)一般的な事柄事実を表し、「~すること」という意味になる。

この違いは、不定詞には常に前置詞toの「~に向かう…」という方向、傾向、意向を示す意味が含まれていることに起因します。つまり、前置詞toの「~に向かう…」という意味から、不定詞句(名詞句)の「~すべきこと、~したいこと」という意味が出て来るわけです。

これに対して、分詞句には前置詞toが付かないために、不定詞のように未来のことを表すのではなく時間的に中立なので、より静的で名詞に近くなります。それゆえ、現在またはこれまでに事実となっていることを示す「~すること」という意味になります。

I hate to smoke. 私は喫煙(に向かうこと)が嫌いだ。→他人が吸うのはかまわないが、自分は吸いたくない。

I hate smoking. 私は喫煙(という事柄)が嫌いだ 。→ 自分はもちろん、他人が吸うのも嫌いだ。

不定詞が導く名詞句と分詞が導く名詞句の間には、上述のような微妙な意味の差異があるため、それらを目的語とする他動詞にも自然と区別が生まれてきます。

不定詞句を目的語とする他動詞

I want to be alone.私は独りでいたい。

不定詞句(名詞句)を目的語とする他動詞は、主に意向、希望を意味する動詞になります。具体的には、want(欲する)の他、hope(望む)、endeavor(務める)、pretend(ふりをする)、promise(約束する)、propose(申し出る)、mean(つもりである)、wish(願う)、care(したいと思う)、choose(選ぶ)、plan(計画する)、aim(狙う)などがあります。

分詞句(動名詞)を目的語とする他動詞

I can’t stand living this way forever.いつまでもこんな暮らしをするのは、私には耐えられない。

分詞句(名詞句)を目的語とする他動詞は、分詞句が動作を概念化したものであるため、主に考えやアイディアに関する動詞、あるいは「している最中のこと」に関する動詞になります。具体的には、stand(耐える)の他、admit(認める)、avoid(避ける)、enjoy(楽しむ)、practice(実行する)、escape(逃れる)、give up(諦める)、fancy(想像する)、finish(終える)、go on(続ける)、keep [on](続ける)、leave off(やめる)、stop(やめる)、mind(気にかける)、repent(後悔する)などがあります。なお、この種の動詞の次に不定詞句が来ると、それは名詞句として目的語の働きをするのではなく、副詞句として働きます。

We stopped to buy books.私たちは本を買うために立ち止まった。

We stopped buying books.私たちは本を買うのをやめた。

以上、準動詞について様々な角度から考察してきました。いかがだったでしょうか。準動詞に関する知識が加わったことで、英文を構成する骨組みの要素が細部まで明確になったのではないでしょうか。ここまで来れば、「英文がどんな長文であろうと、5文型と4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)さえ理解すれば、その構造を簡単に読み解くことができる」ということが完全に腑に落ちたと思います。

これで英語の長文を見ても、その骨組みである5文型の種類を即座に見極めて、英文の構造を解析することができます。しかし、これによって英文の構造はわかったとしても、英文の意味を理解するには、それだけでは足りません。英文法に関する事項はまだたくさんあり、それらについてもっと学ぶ必要があります。

とりわけ動詞について学習しなければなりません。なぜなら、英語の動詞は 5文型の中核であると同時に、時制(Tenses)相(アスペクトaspect)法(Mood)態(Voice)に応じて語形を変化させなから述語の意味をも変えるからです。それゆえ、これらを理解することなしに、英文の意味するところを正しく理解することは不可能です。したがって、今後は 時制という動詞に関わる文法事項ついて、このブログ記事で適宜解説していきます。乞うご期待!!

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