英文構造解析の要諦Ⅰー単語(品詞)

英文法の奥義とは何か

前回の翻訳サービスのブログ記事の中で、高2のときに英文法の奥義に開眼したと述べました。その奥義とは英文構造解析の要諦と言えるもので、その内容は英文がどんな長文であろうと、5文型と4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)さえ理解すれば、その構造を簡単に読み解くことができるというものです。たったそれだけで英文の構造解析ができるのかと思うかもしれませんが、実際にそれだけで十分です。このことを説明するために、まずは英語の5文型から見ていきます。

英語の5文型は、SV、SVC、SVO、SVOO、SVOCの5つから成り、これらは基本文型と呼ばれています。ちなみにSは主語、Vは動詞、Oは目的語、Cは補語を表しますが、英文法ではこれら4つだけを英文の構成に不可欠な要素(element)と認め、それ以外はすべて副次的な修飾語(modifier)と見なしています。つまり、この4要素は英文における骨組みに当たり、それ以外の修飾語は骨組みに付着する肉に相当するわけです。

したがって、英文の構造解析をするには、肉(修飾語)を削ぎ落として骨組み(4要素)を浮き彫りにすることが肝要です。このことについては詳細に後述するので、その前に5文型のそれぞれについてさらに細かく見ていきます。

動詞の種類と5文型

第1文型:SV

Plants grow. 植物は(が)成長する。

第1文型の動詞grow完全自動詞と呼ばれています。

第2文型:SVC

Cows are useful. 牛は有益である。

第2文型の動詞(are)は不完全自動詞と呼ばれています。なぜこの動詞(are)が不完全なのかと言うと、補語(useful)によって補わないと、文の意味を完結させることができないからです。この点については後述します。

第3文型:SVO

A cat catches a mouse. 猫は(が)ねずみを捕まえる。

第3文型の動詞(catches)は完全他動詞と呼ばれています。この動詞(catches)を他動詞と呼ぶのは、それが主語Sの動作が働きかける対象、つまり目的語O(a mouse)を必要とするからです。これに対して、第1文型の動詞(grow)も、第2文型の動詞(are)も、主語Sの他には働かける対象を必要としません。どちらの動詞も、主語自体の中だけで完結する動作を示すために、自動詞と呼ばれているわけです。

ところで動詞は動作、状態を示す品詞ですが、自動詞が示す動作は外の対象ではなく主語自身に働きかけます。よって、自動詞はその動作の働きかけを受ける主語の状態を示すとも言えます。実際、不完全自動詞(are)は、主語の「在る」という状態を示しています。しかし、それは主語がどんな状態に「在る」のかを示せません。だからこそ、補語(useful)の助けを借りて、「有益な」という状態の様相を示すわけです。そして、それによって「Cows are useful.」という文の意味が「牛が有益な状態に在る」、つまり「牛は有益である」となって文意が完結します。

ちなみに、第2文型SVCの補語Cと第3文型SVOの目的語Oは、どちらも動詞Vの後に置かれます。この2つを見分ける方法はあるのでしょうか。見分け方としては、両者と主語との関係を見ます。補語Cは主語Sと等しい関係にあります(Cows=useful)。けれども、目的語Oは主語Sの動作を受ける立場にあるだけなので、そこには何ら同等関係はありません。実は、見分け方はもう一つあるのですが、これについては後述します。

第4文型:SVOO

I give you a pen. 私は(が)君にペンをあげる。

第4文型の動詞は授与動詞と呼ばれる他動詞で、目的語を2つ取ります。そして、最初の目的語(you)は間接目的語、2番目の目的語(a pen)は直接目的語と言います。また、直接目的語(a pen)が主語の動作(give)が働きかける対象を示すのに対して、間接目的語(you)はその動作の終着点を示します。

第5文型:SVOC

He makes her happy. 彼は(が)彼女を幸福にする。

第5文型の動詞は不完全他動詞と呼ばれ、目的語(her)の他に補語(happy)を取ります。なぜこの動詞(makes)が不完全かというと、補語(happy)によって補わないと、文の意味を完結させることができないからです。実際、「He makes her.」だけだと、文の意味が「彼は彼女をつくる」になり、彼女をどのようにつくるのかという情報が欠けているために文意が完結しません。そこで補語(happy)を補うわけですが、そうすると「He makes her happy.」という文の意味が「彼は彼女を幸せの状態につくる」、つまり「彼は彼女を幸せにする」となって文意が完結します。

このように第5文型の補語は目的語の状態の様相を示しますが、上で述べたように第2文型の補語は主語の状態の様相を示します。それゆえ、第5文型の補語は目的格補語、第2文型の補語は主格補語と呼ばれています。

ちなみに、makeという動詞は第5文型で用いられるときは使役動詞(Causatitive verb)と呼ばれ、「…を~にする」という意味になります。しかし、たとえこの意味を知らなかったとしても、上で見たように、第5文型の構造とmakeの「つくる」という中核的意味(core meaning)さえ知っていれば、「…(目的語)を~(目的格補語)のような状態につくる」とすぐに想起できるので、そこから「…を~にする」という意味が自然に導かれるでしょう。

さて、以上のことから、英語の5文型は動詞の型を基準にした分類であることがわかります。要は、動詞の種類が文の形式を決定するわけです。英語には動詞以外にも品詞がありますが、品詞と5文型との関係はどうなっているのでしょうか。次はそのことについて見ていきます。

5文型と品詞との関係

品詞は文の中で各語がどこに配置されるかを示す役割を担っています。そして、英語には全部で8つの品詞があります。すなわち、名詞(事物の名称を表す語)、代名詞(名詞の代わりをする語)、動詞(動作、状態を表す語)、形容詞(名詞を修飾する語)、副詞(動詞、形容詞、副詞を修飾する語)、前置詞(名詞の前に置き、それと一緒になって形容詞句、副詞句をつくる語)、接続詞(語、句、節を結び合わせる語)、間投詞(高まった感情を表す語で、文の他の部分とは文法的関係を持たない)が8品詞と呼ばれています。

この内、意味的に重要なのは名詞、動詞、形容詞、副詞の4つだけであり、代名詞は名詞の代わりをする語なので名詞として扱います。また、間投詞は文の他の部分とは文法的関係を持たないので、無視してかまいません。残りの前置詞と接続詞は機能語と呼ばれていてる言葉で、他の語と結合して前置詞は句を、接続詞は句と節をつくるので、次回のブログ記事で扱う句と節のところで解説します。

ここからの説明は、英語の5文型との絡みで非常に大事です。なぜなら、英文法では意味的に重要な4品詞の内、名詞(代名詞)、動詞、形容詞の3つだけが5文型を構成する要素になれるからです。副詞は修飾語と見なされるので、文の要素になることはありません。

ただし、形容詞には付加的用法と叙述的用法の2つがありますが、補語になれるのは叙述的用法の形容詞だけです。ちなみに付加的用法は、形容詞を直接名詞の前または後ろに置いて、それを修飾するときの用法です。これに対して叙述的用法は、形容詞が不完全自動詞の主格補語となって主語の状態の様相を表すか、あるいは不完全他動詞の目的格補語となって目的語の状態の様相を表すときの用法です。

ところで、冒頭で述べたように、英文の構造解析をするには、 主語、動詞、目的語、補語の4要素が重要であり、しかも名詞(代名詞)、動詞、形容詞の3つだけが5文型の要素になれます。それゆえ、これら4要素と3品詞との関係を見れば、英文の構造解析をすることができます。

しかし、4要素と3品詞の両方に動詞が含まれていて重複するため、実際には動詞を除いた主語、目的語、補語の3要素と名詞、形容詞の2品詞の関係を見れば良いことになります。それでは、5文型においてこの3要素と2品詞の関係はどうなっているのでしょうか。次に、この関係を具体的に見ていきます。

5文型における3要素と2品詞の関係

第1文型における関係

第1文型は主語と完全自動詞から成るので、ここでは主語と名詞、形容詞との関係を見ます。英文法においては、主語になれるのは名詞だけです。そして、このことは第1文型だけでなく、5つの基本文型すべてに当てはまります。

第2文型における関係

第2文型は主語と不完全自動詞と主格補語からなるので、ここでは主格補語と名詞、形容詞との関係を見ます。英文法においては、名詞と形容詞のどちらも主格補語になることができます。そして、それぞれ名詞補語形容詞補語と呼ばれています。

名詞補語:Cows are animals. 牛は動物である。

形容詞補語:Cows are useful. 牛は有益である。

また、名詞補語(animals)は主語と等しいものを表し、形容詞補語(useful)は主語の状態の様相を表します。しかし、より高い視点で見れば、どちらも常に主語=補語の関係にあり、上の例を見てもCows=animals、Cows=usefulという関係が成立していることがわかるでしょう。

第3文型における関係

第3文型は主語と完全他動詞と目的語から成るので、ここでは目的語と名詞、形容詞との関係を見ます。英文法では、目的語になれるのは名詞だけです。したがって、動詞の次に名詞が来たら、まずはそこで第3文型か、あるいは前述の第2文型のどちらなのかを確認する必要があります。

ところで先程、動詞の後に置かれる第2文型の補語と第3文型の目的語の見分け方として、同等関係の有無以外にもう一つあると述べました。それが形容詞補語です。目的語は名詞しかなれないので、動詞の後に形容詞が来れば、それは必ず補語です。動詞の後に名詞が来るときは、目的語と名詞補語の両方の可能性がありますが、この場合は主語との間に同等関係があるかどうかを調べればどちらなのかを判別できます

第4文型における関係

目的語になれるのは名詞だけなので、第4文型の直接目的語間接目的語はどちらも名詞です。したがって、 動詞の次に名詞が2つ続いたら、第4文型か、あるいは次に述べる第5文型のどちらかになります。

第5文型における関係

第5文型は主語と不完全他動詞と目的語と目的格補語から成るので、ここでは目的格補語と名詞、形容詞との関係を見ます。第2文型の主格補語の場合と同様、英文法では名詞、形容詞のどちらも目的格補語になれるので、それぞれ名詞補語形容詞補語と呼ばれています。

名詞補語:He makes her wife. 彼は(が)彼女を妻にする。

形容詞補語:He makes her happy. 彼は(が)彼女を幸福にする。

そして、名詞補語(wife)は目的語と等しいものを表し、形容詞補語(happy)は目的語の状態の様相を表します。また、主格補語の場合と同様、どちらも場合も常に目的語=補語の関係にあります。実際、上の例を見てもher=wife、her=happyという関係が成り立っていることがわかるでしょう。

英文構造解析のやり方

さて、ここまで来てようやく、冒頭で述べた「英文がどんな長文であろうと、5文型と4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)さえ理解すれば、その構造を簡単に読み解くことができる」ということの解説に入れます。具体的な英文解析のやり方は、以下のような手順になります。

1.まず一番見つけやすい動詞の位置を確認し、それから動詞の前を見ます。平叙文の場合、動詞の前には主語が来ます。そして、そこにはどんなに修飾語が長くてもそれを受ける名詞が必ずあるので、それを見つければ主語を特定することができます。

2.次に動詞の直後を見て、そこに何もないか副詞が来れば第1文型になります。

3.動詞の直後に形容詞が来れば、それは主格補語なので第2文型になります。

4.動詞の直後に名詞が来れば、それは第2文型、第3文型、第4文型、第5文型のいずれかになります。それを見分けるために、さらにその名詞の直後を見ます。

4-1.動詞の直後が名詞で、その名詞の直後に名詞、形容詞以外のものが来れば、それは第2文型か第3文型のいずれかになります。この場合、動詞の直後の名詞は目的語か補語のどちらかになるので、それと主語との関係を見ます。動詞の直後の名詞と主語との間に同等関係があれば、その名詞は主格補語なので第2文型になります。そこに同等関係がなければ、その名詞は目的語なので第3文型になります。

4-2.動詞の直後が名詞で、その直後にも名詞が来れば、動詞の直後に名詞が2つ連続で並ぶので、最初の名詞は目的語になります。それゆえ、それは第4文型か第5文型のいずれかになります。この場合は、目的語とその直後の名詞との関係を見ます。目的語とその直後の名詞との間に同等関係があれば、その名詞は目的格補語なので第5文型になります。そこに同等関係がなければ、その名詞は直接目的語なので第4文型になります。

4-3.動詞の直後が名詞で、その直後に形容詞が来れば、名詞は目的語、形容詞は目的格補語になります。 それゆえ、これは第5文型と判定されます。

このようにすれば、どんなに英文が長くても4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)を手がかりにして、その英文がどの要素(主語、動詞、目的語、補語)で構成されているかを解析して、5文型のどれに当たるかを特定することができます。

また、この方法を使えば、知らない単語がたくさん出て来る英文でも、その要素となる単語の意味さえ知っていれば、その文が最低限何を伝えようとしているのかを理解できます。それゆえ、未知の単語を多く含んだ長い文章に出くわしても、読み進めて行ってその概要を把握することができます。

しかし、英文は単語だけで構成されていることは稀で、その多くは句や節を含みます。もちろん、そのような英文に対しても上で述べた方法を適用して解析できるのですが、句や節の知識がないと、実際の解析は困難になります。

しかし、これらを解説すると長くなるので、その作業は次回の翻訳サービスのブログ記事に回します。次回の記事まで読んでもらえれば、「英文がどんな長文であろうと、5文型と4品詞(名詞、動詞、形容詞、副詞)さえ理解すれば、その構造を簡単に読み解くことができる」ということがかなり腑に落ちると思います。乞うご期待!!

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